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三次市・庄原市・安芸高田市の建設業の皆さまへ 建設業許可における左官工事:その定義と他業種との違い

目次

建設業許可における左官工事とは

建設業許可制度において、左官工事は29の専門工事業種の1つとして位置づけられています。左官工事は建築物の美観や機能性を高める重要な役割を果たす工事であり、その専門性と技術力が求められる分野です。

では、建設業許可申請において左官工事はどのように定義され、どのような内容が含まれるのでしょうか。以下、左官工事に関する3つの重要な観点について詳しく解説していきます。

①建設工事の内容

左官工事の建設工事内容は、建設業法施行令別表第1において次のように定義されています:

「工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事」

この定義を詳しく見ていきましょう。

  1. 対象となる場所: 「工作物」という言葉が使用されていることから、左官工事の対象は建築物だけでなく、土木構造物なども含まれることがわかります。
  2. 使用する材料:
    • 壁土:土を主原料とした伝統的な左官材料
    • モルタル:セメント、砂、水を混ぜ合わせた左官材料
    • 漆くい:漆喰の別称で、消石灰を主成分とする左官材料
    • プラスター:石膏を主成分とする左官材料
    • 繊維:補強や質感向上のために使用される材料
  3. 施工方法:
    • こて塗り:左官こてを使用して材料を塗る方法
    • 吹付け:機械を使用して材料を吹き付ける方法
    • はり付け:薄い材料を接着剤などで貼り付ける方法

この定義から、左官工事は様々な材料と施工方法を用いて、建築物や構造物の表面を仕上げる工事であることがわかります。

②建設工事の例示

左官工事の具体的な例示として、建設業許可事務ガイドラインでは以下のような工事が挙げられています。

  1. 左官工事: 伝統的な左官技術を用いた壁や天井の仕上げ工事です。土壁や漆喰壁などが代表的です。
  2. モルタル工事: セメントモルタルを使用した壁や床の仕上げ工事です。タイル下地や防水下地としても使用されます。
  3. モルタル防水工事: 防水性能を持つモルタルを使用して、建物の防水性を高める工事です。屋上や浴室などで行われます。
  4. 吹付け工事: モルタルやプラスターを機械で吹き付けて仕上げる工事です。大面積の壁面や天井に適しています。
  5. とぎ出し工事: モルタルに砂や砂利を混ぜ、表面を研磨して石材のような質感を出す工事です。
  6. 洗い出し工事: モルタルに砂利を混ぜて塗り、表面を水洗いして砂利を露出させる仕上げ工事です。

これらの例示から、左官工事が単に壁を塗るだけでなく、様々な技法や材料を用いて建物の美観や機能性を高める幅広い工事であることがわかります。

③建設工事の区分の考え方

左官工事と他の工事種別との区分について、建設業許可事務ガイドラインでは以下のような考え方が示されています。

  1. ラス張り工事および乾式壁工事との関係: ラス張り工事(金網を張る作業)や乾式壁工事(ボードを張る作業)は、通常、左官工事を行う際の準備作業として当然に含まれているものとされています。そのため、これらの作業のみを行う場合でも、左官工事業の一部として扱われます。
  2. 防水モルタル工事の取り扱い: 防水モルタルを用いた防水工事は、左官工事業の許可でも、防水工事業の許可でも施工可能とされています。これは、モルタル工事の技術と防水工事の技術が融合した工事であるためです。
  3. 吹付け工事の区分: 建築物に対するモルタル等の吹付け工事は左官工事に該当しますが、法面処理等のためにモルタルや種子を吹き付ける工事は、とび・土工・コンクリート工事に該当します。この区分は、工事の目的や対象物によって判断されます。
  4. コンクリート積みブロック工事との関係: コンクリートブロックを用いた工事は、その規模や目的によって区分が異なります。土木工事で使用される大型のコンクリートブロック(根固めブロックや消波ブロックなど)の据付けは、とび・土工・コンクリート工事に該当します。一方、建築物の内外装として擬石等を貼り付ける工事や、擁壁としてコンクリートブロックを積む工事は、タイル・れんが・ブロック工事に該当します。
  5. 型枠工事との関係: 左官工事に伴う型枠の製作は左官工事に含まれますが、建築物の型枠工事は大工工事、土木工作物の木製型枠工事はとび・土工・コンクリート工事に該当します。

これらの区分の考え方は、工事の主たる目的や、使用する材料、施工技術などを総合的に判断して決定されます。左官工事は他の工事種別と密接に関連しているため、実際の工事内容を詳細に検討し、適切な業種区分を選択することが重要です。

左官工事業の重要性と特徴

左官工事は、建築物の美観や機能性を大きく左右する重要な工事です。その特徴と重要性について、さらに詳しく見ていきましょう。

  1. 伝統技術の継承: 左官工事は日本の伝統的な建築技術の一つです。土壁や漆喰壁などの伝統的な仕上げ技術は、現代建築においても高い評価を受けています。これらの技術を継承し、発展させていくことは、日本の建築文化を守る上で非常に重要です。
  2. 環境への配慮: 左官工事で使用される材料の多くは、自然素材や環境に優しい材料です。例えば、珪藻土や漆喰は調湿性や消臭性に優れており、室内環境の改善に貢献します。また、これらの材料は再利用や廃棄時の環境負荷が低いという特徴があります。
  3. 高度な技術と経験: 左官工事は機械化が難しく、職人の手技術に大きく依存する工事です。壁面を均一に仕上げたり、複雑な模様を施したりするには、長年の経験と高度な技術が必要です。そのため、熟練した左官職人の育成と技術の継承が課題となっています。
  4. 多様な表現力: 左官工事は単なる壁の仕上げにとどまらず、様々な表現が可能です。例えば、色や質感を変えることで空間の雰囲気を大きく変えたり、模様や凹凸を付けることで独特の装飾効果を生み出したりすることができます。この多様な表現力は、建築デザインの可能性を広げる重要な要素となっています。
  5. 建物の保護と長寿命化: 左官工事は建物の外装や内装を保護する重要な役割を果たします。適切な左官仕上げは、建物を雨や風から守り、耐久性を高めます。また、定期的なメンテナンスや補修を行うことで、建物の寿命を延ばすことができます。
  6. 他工事との連携: 左官工事は他の建設工事と密接に関連しています。例えば、タイル工事の下地づくりや、塗装工事の前処理など、他の仕上げ工事の基礎となる重要な役割を果たします。そのため、他の工種との連携や調整が非常に重要になります。

まとめ

建設業許可における左官工事は、建築物や構造物の表面を仕上げる重要な工事です。その内容は、壁土やモルタル、漆喰などの材料を用いて、こて塗りや吹付けなどの方法で施工することを指します。

左官工事の例示としては、伝統的な左官工事からモルタル工事、吹付け工事、とぎ出し工事など、幅広い工事が含まれます。これらの工事は、建物の美観や機能性を高める重要な役割を果たしています。

他の工事種別との区分においては、工事の主たる目的や使用する材料、施工技術などを総合的に判断して決定されます。特に、ラス張り工事や乾式壁工事、防水モルタル工事などとの関係性に注意が必要です。

左官工事業は、伝統技術の継承や環境への配慮、高度な技術と経験、多様な表現力など、多くの特徴と重要性を持っています。これらの特徴は、日本の建築文化を支える重要な要素となっています。

建設業許可の取得に際しては、専任技術者の要件や実務経験の証明、財産的基礎の確保など、様々な条件を満たす必要があります。また、許可取得後も適切な業務範囲の理解や定期的な更新手続きが求められます。

左官工事は、建築物の質を大きく左右する重要な工事です。その技術と伝統を守りつつ、新しい材料や技術を取り入れながら発展していくことが、今後の建設業界にとって重要な課題となるでしょう。

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