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経審(経営事項審査)の入門編

経審(けいしん)は、建設業界において非常に重要な制度です。初心者の方にも理解しやすいよう、経審の概要と重要性について説明します。

目次

経審とは

経審は「経営事項審査」の略称で、建設業者の経営状況や技術力を客観的に評価する制度です。この審査は、公共工事の入札に参加するために必要不可欠なものとなっています。

経審の目的

経審の主な目的は以下の通りです:

  1. 公共工事の品質確保
  2. 建設業者の経営状況の透明化
  3. 公平な入札機会の提供

経審の評価項目

経審では、以下の4つの主要項目について評価が行われます:

  1. 経営規模(X): 会社の売上高や従業員数など
  2. 経営状況(Y): 財務状況や収益性など
  3. 技術力(Z): 技術者の数や工事実績など
  4. 社会性(W): 防災活動への取り組みや労働福祉の状況など

経審の流れ

経審を受けるための基本的な流れは以下の通りです:

  1. 建設業許可の取得: 経審を受けるには、まず建設業許可を持っていることが必要です。
  2. 経営状況分析の実施: 国土交通省が認めた専門機関に申請し、財務状況などの分析を受けます。
  3. 経営規模等評価の申請: 都道府県知事や国土交通大臣に申請を行います。

経審の重要性

経審は単なる審査ではなく、建設業者にとって以下のような重要な意味を持ちます:

  1. 公共工事参加の必須条件: 公共工事の入札に参加するために不可欠です。
  2. 会社の信用度の指標: 経審の結果は公開され、会社の信用度を示す指標となります。
  3. 継続的な経営改善の動機: 定期的に審査を受けることで、経営改善の動機づけになります。

注意点

  • 経審の結果には有効期限があり、通常は審査基準日から1年7ヶ月です。
  • 継続して公共工事に参加するためには、毎年経審を受ける必要があります。

経審は複雑な制度に見えますが、公共工事の品質確保と建設業界の健全な発展のために重要な役割を果たしています。初めて経審を受ける際は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

経審(経営事項審査)の申請手続きにかかる時間について、主な流れと所要期間を説明します。

全体の所要期間

経審の申請手続き全体では、おおよそ2〜3ヶ月程度かかります。ただし、準備や各段階での処理時間によって多少前後する可能性があります。

主な手続きと所要時間

1. 決算書類の準備

  • 所要時間:決算日から約2ヶ月
  • 決算日から2ヶ月以内に確定申告を行う必要があります。

2. 決算変更届の提出

  • 所要時間:確定申告後すぐ〜1ヶ月程度
  • 決算日から4ヶ月以内に提出する必要があります。

3. 経営状況分析の申請

  • 所要時間:3日〜1週間程度
  • 申請から結果通知書の受け取りまでの期間です。

4. 経営規模等評価の申請

  • 所要時間:約3週間
  • 申請から総合評定値通知書の受け取りまでに約22日程度かかります。

5. 入札参加資格申請

  • 所要時間:自治体により異なる
  • 通常、11月から翌年2月頃に集中して募集が行われます。

注意点

  1. 経営状況分析結果通知書が必要:経営規模等評価申請を行う前に、経営状況分析結果通知書を取得する必要があります。
  2. 予約が必要な場合:自治体によっては、経営規模等評価の申請に予約が必要な場合があります。例えば大阪府では2ヶ月前からFAXか府庁での予約が必要です。
  3. 書類準備の時間:各段階で必要な書類の準備に時間がかかる場合があります。特に経審を初めて受ける場合は、財務諸表3期分の提出が必要なので注意が必要です。
  4. 有効期限と次回申請:総合評定値通知書の有効期限は1年7ヶ月(19ヶ月)ですが、実質的には次の決算時期に合わせて毎年申請する必要があります。

経審の申請手続きは複雑で時間がかかるプロセスですが、計画的に進めることで、スムーズに完了させることができます。特に初めて申請する場合は、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。

必須提出書類

  1. 経営事項審査確認書: 許可番号や会社名を記載します。
  2. 総合評定値請求書・経営規模等評価申請書: 申請者氏名や必要事項を記入します。
  3. 工事種別完成工事高・工事種別元請完成工事高: 業種別に金額を記入します。
  4. 技術職員名簿: 6ヶ月以上在籍し、月給10万円以上の全技術職員を記載します。
  5. その他の審査項目: 社会保険加入状況や営業継続状況などを記載します。
  6. 経営状況分析結果通知書: 原本を提出します。

経営状況分析申請の必要書類

  • 経営状況分析申請書
  • 決算報告書一式(3年間分)
  • 貸借対照表、損益計算書
  • 完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表(法人の場合)
  • 当期減価償却実施額を確認できる書類
  • 受取手形割引高を確認できる書類
  • 建設業許可通知書の写しまたは建設業許可証明書の写し

経営規模等評価申請の提出書類

  • 経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
  • 工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高(別紙1)
  • 技術職員名簿(別紙2)
  • その他審査項目(別紙3)
  • 消費税確定申告書の写し(免税事業者は不要)
  • 消費税納税証明書その1(免税事業者は不要)
  • 工事経歴書
  • 工事経歴書に記載した工事の請負契約書または注文書・請書などの写し
  • 経営状況分析結果通知書

提示書類

  • 建設業許可通知書または許可証明書
  • 建設業許可申請書の副本一式
  • 決算変更届出書
  • 変更届出書(代表者、技術者等の変更時提出したもの)
  • 確定申告書控一式
  • 前年度の経営規模等評価申請書一式及び審査結果通知書
  • 技術職員の国家資格者の免状等
  • 技術者職員の在籍状況確認書類
  • 「その他審査項目」に係る各種証明書類

これらの書類は、申請先によって多少異なる場合があるため、事前に確認することが重要です。また、新規申請や許可業種追加の場合は、追加の書類が必要になることがあります。

経営事項審査(経審)の申請手続きの流れ

  1. 決算変更届の提出
  • 事業年度終了後4ヶ月以内に、建設業の許可を受けた行政庁へ提出します。
  • 工事経歴書の作成が重要で、工事の業種と申請する業種が合致していることを確認します。
  1. 経営状況分析の申請
  • 登録経営状況分析機関に郵送で申請します。
  • 初回申請時は事業年度終了報告書(決算変更届)を3期分提出する必要があります。
  1. 経営状況分析結果通知書の受領
  • 申請後、経営状況分析結果通知書が届きます。
  1. 経営規模等評価申請の日程調整
  • 県庁建設管理課などに往復はがきを送り、申請日程の連絡を受けます。
  1. 経営規模等評価申請
  • 県庁建設管理課などに「経営規模等評価申請」および「総合評定値(P)」を請求します。
  • 必要書類を収集し、指定された日に申請を行います。
  1. 結果通知書の受領
  • 経営規模等評価結果通知書および総合評定値通知書が交付されます。
  • 経営状況分析の申請から結果通知まで、通常3ヶ月程度かかります。

注意点:

  • 建設業許可を受けていることが前提条件です。
  • 直前の決算日を審査基準日とするため、新たな決算日を迎える前に申請する必要があります。
  • 書類の収集と準備が重要で、特に工事契約書や請求書などの証拠書類が必要です。
  • 雇用保険・社会保険等の支払いが完了していることが必要です。

この流れを経て経審が完了しますが、指名競争入札に参加するためには、さらに公共団体への入札参加資格審査の申請が必要となります。

経営事項審査(経審)の申請手続きにかかる費用は、主に以下の要素によって構成されます:

  1. 経営規模等評価申請および総合評定値請求の手数料
  2. 経営状況分析機関への手数料
  3. 申請代行サービスを利用する場合の費用

1. 経営規模等評価申請および総合評定値請求の手数料

手数料は審査対象業種数によって変わります[1]:

  • 基本料金:8,500円
  • 審査対象業種1つにつき:2,500円

例えば:

  • 1業種の場合:11,000円
  • 5業種の場合:21,000円
  • 10業種の場合:33,500円

2. 経営状況分析機関への手数料

経営状況分析機関への手数料は、通常13,800円程度です。

3. 申請代行サービスの費用

申請代行サービスを利用する場合、以下のような費用がかかります:

  • 経営事項審査および経営状況分析申請の代行:119,000円〜(税込130,900円〜)
  • 経営事項審査、経営状況分析申請、決算変更届の代行:164,000円〜(税込180,400円〜)

これらの費用は、許可業種数、支店の数、技術職員数などによって変動します。

総費用の目安

経審の申請を自社で行う場合、最低でも約25,000円程度(1業種の場合の手数料11,000円 + 経営状況分析機関手数料13,800円)がかかります。

申請代行サービスを利用する場合は、130,000円〜180,000円程度(税込)の費用がかかる可能性があります。

なお、これらの費用に加えて、書類の準備や郵送費用などの実費も考慮する必要があります。また、入札参加資格の取得や建設業許可の取得を含むより包括的なサービスを利用する場合は、さらに高額になる可能性があります。

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